第245話

ダリア視点

化粧台の前に立ち、タオルで髪を乾かしていると、ドアをノックする音が響いた。誰なのか推測する必要はなかった――なぜか、分かってしまったのだ。私は濡れた髪に指を通し、乱れたカールを少しでも見栄え良く整えようとしてから、ドアを開け放った。

彼らの匂いが瞬時に私を襲う。芳醇な香水のように私の周りにまとわりつく、温かく、陶酔させる香り。どれだけ彼らのそばにいても、その影響力が薄れることはなかった。一目見た瞬間に走る電撃のような衝撃。この上なくハンサムな顔立ち、彫刻のような肉体、そしてその眼差しに宿る燻るような激しさ――それらを目にするたび、私の体は渇望で熱くなり、息ができなくなる。彼らの...

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