第273話

ダリア視点

やっと喉のつかえが取れた頃には、私たちはもう車の前にいた。ローガンは私を、後部座席に座っている弟へと引き渡す。リアムは間髪入れずに私を膝の上へ引き寄せると、その頑強な腕を私の体に回し、決して逃がさないというように強く抱きすくめた。

「もう! 放してよ!」私は叫び、必死に身をよじったが無駄だった。

「そうはいかないよ、エンジェル」私の肘が脇腹に入り、リアムは顔をしかめながらも低く唸った。「今の君は冷静じゃない。君が好むと好まざるとにかかわらず、君を守るのが番(つがい)であるオレたちの役目なんだ」

「子守なんて頼んでないわよ!」私は奥歯を噛みしめながら言い放った。「言ったでしょ...

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