第282話

「えっと……あの……私」

彼女の声は裏返り、視線が落ちる。膝の上で組まれた両手は、緊張で落ち着きなく動いていた。

「何でも話してごらん、エンジェル」

リアムが優しく語りかけ、彼女の顎をすくい上げて自分と目を合わせさせた。その声に滲む誠実さは、疑念を挟む余地を与えないものだった。

「俺たちのそばなら、いつだって安全だ。愛しい子。どんなことでもな」

俺はそう約束し、彼女の背中を円を描くようにゆっくりと撫でて落ち着かせようとした。

「わかってる」彼女は囁いた。その声は小さいが、しっかりとしていた。それでも、言うべき言葉は唇の裏側に閉じ込められたままだ。

「待ってるよ」俺は優しく促した。...

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