第289話

ダリア視点

「落ち着けよ、お人形さん。正式に役目に就くのを急ぐ必要はないさ」

ローガンがからかうように言った。その声には愉悦がたっぷりと滲んでいる。

「ただ、パックのみんなにお前を知ってもらいたいだけだ。そうしないと、俺たちが四六時中お前にベタベタ触れてるところを見せつけられて、あいつら気が狂っちまうからな」

そのふざけた口調のおかげで神経が緩み、私は無意識に止めていた息を吐き出した。

少しして、私たちはパックにニュースを伝えるために談話室へ向かっていた。ローガンとリアムはカジュアルな服装に着替えていた――色あせたジーンズに、体にぴったりと張り付くTシャツ。その布地は、彫刻のように鍛え上げ...

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