第316話

ローガン視点

鼻歌交じりに作業を進めながら、俺の思考は彷徨っていた――怒涛の勢いで過ぎ去ったこの二週間のこと、そして明日という日が約束する未来のことへと。母さんに準備の手伝いを頼まれた時、俺はわざと渋るような素振りを見せ、冗談めかした文句を一つ二つ並べて、少しばかり彼女を困らせてやった。実を言うと、普段は冷静沈着で完璧な「ルナ」である母さんが、少しだけ取り乱す様子を見るのが楽しかったのだ。だが、そんなからかいの裏で、手伝えることが嬉しくてたまらなかったのも事実だ。明日の式を完璧なものにするためなら、何だってするつもりだった。母さんのため、そして俺たちの「番(つがい)」のために。

式典の段取...

ログインして続きを読む