第326話

ダリア視点

ミッドナイト・ムーンの中心街、古風な石畳の通りをあてもなく彷徨った。足が勝手に動いているだけで、行き先も目的もない。今、何かを計画しようとするなんて滑稽だ。ほんの数分ですべてがひっくり返ってしまったのだから。父に会える期待に胸を躍らせて部屋を飛び出した次の瞬間、父が叔母を抱き寄せ、自分の「つがい(メイト)」だと宣言するのを目の当たりにして、私は凍りついた。

だから今、私はここにいる。物理的にも感情的にも馴染みのない土地で迷子になり、心の中の混沌を必死に解きほぐそうとしていた。

父が「セカンドチャンス・メイト」を見つけるかもしれないなんて、考えたこともなかった。話題にしたことも...

ログインして続きを読む