第350話

ダリア視点

狼たちにとって、つがいの儀式は単なる伝統以上のものだ。それは人間の結婚式に相当する、永遠の誓いである。父と腕を組み、通路の端に立つ今、その真実はかつてない重みを持って私にのしかかっていた。この道を一歩進むごとに、私は伴侶たち――私の永遠の存在――へと近づいていくのだ。

離婚によって関係を断ち切れる人間とは違い、狼にそんな逃げ道はない。これはただの式典ではなく、永遠の拘束力を持つ誓いだ。たとえ絆が壊れようと、肉体関係がなくなろうと、その「刻印」――狼による永遠の所有の証――は不可逆であり、絶対的なものだ。

かつてあれほど深く恐れていたものが、いつの間にか私が望むすべてへと変わっ...

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