第354話

ローガン視点

タラッサと踊っているとき、混み合うダンスフロアを横切ってくるセインの姿が目に入った。ブラック・ブレード・パックのベータだ。奴の目は俺たちの番(つがい)に釘付けで、その瞳に宿る見慣れた悪戯めいた光が、俺の血を沸騰させた。あの野郎が何を企んでいるか、手に取るようにわかったからだ。前回、奴が俺の大事な彼女に近づきすぎたとき、事態は危うく修羅場になるところだった。二度とあんな真似はさせない。絶対にだ。

俺は身を乗り出してタラッサに詫びを囁くと、奴が近づきすぎる前に阻止しようと、彼女から離れて歩き出した。

だが、俺が止めるより早く、奴はもう彼女の手の届くところにいた。あの汚い手で彼女...

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