第6章

 バックステージのモニターの前に立ち、純一がホールに足を踏み入れるのを見つめていた。

 あれから二年。彼は随分と痩せこけていた。顎に生え揃った青々とした無精髭が、彼の荒んだ生活を物語っている。私に会えるという期待からか、その瞳にギラギラとした興奮の光が宿っているのを見ると、反吐が出そうだった。

 あの匿名のメールは、私が差し出した蜘蛛の糸だ。

「咲良、本当にいいんだね?」

 背後に立つ博己の声には、深い懸念が滲んでいた。

「一度公にしてしまえば、もう後戻りはできないよ」

 私は振り返って彼を見上げた。

 人生で最も暗く苦しい二年間を、この人はずっと傍で支えてくれた——私の命を奪...

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