第191章

高橋隆司は浅い眠りについていた。もやもやとした意識の中で、かすかな物音が聞こえ、眉をひそめながら目を開けた。

病床の上の人が額に手を当てているのが見えた。明らかに目を覚ましたようだ。

「具合はどう?熱はひどい?」高橋隆司はベッドに近づいた。

江口美咲はわずかに体を強張らせ、ゆっくりとベッドに身を起こし、よそよそしく礼を言った。「だいぶ良くなりました。今夜はご迷惑をおかけして」

江口美咲の冷淡な様子に高橋隆司の瞳の色が暗くなったが、江口美咲がまだ病気であることを思い出し、不快な感情を押し殺して、低い声で気遣った。「夕食を食べてないだろう。お腹すいてない?」

食べ物の話を出されるまでは...

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