第194章

粥を飲み終えると、江口美咲は時間を確認し、今から研究所へ向かえばまだ間に合うと思った。

「もう熱は下がりました。吉田さん、退院の手続きをお願いできますか?仕事に戻らないといけないので」

黒沢慎吾という年上の方の手術をしたことで、すでに研究所の進捗に遅れが生じていた。

江口美咲は自分のせいで研究の進度が滞ることを望んでいなかった。

吉田さんは少し躊躇した。「江口さん、もう一日病院で様子を見られたほうがいいんじゃないですか?この間どれだけ忙しくされていたか、私も見ていましたから。昨日の急な発熱も、きっと過労が原因です。熱が下がったばかりなのに、すぐにまた仕事に戻るなんて、体が持ちませんよ...

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