第7章

 私は振り返った。

 セリーナが真新しい黒の高級車から降りてきた。ピンヒールを鳴らし、手首にはダイヤモンドのブレスレットを光らせている。

 彼女は私の前に歩み寄り、頭から爪先まで値踏みするように見回した。

「まだ仕事? その格好……チッ、お疲れ様」

 私は無言を貫いた。

 彼女はくるりと回ってみせ、ドレスを見せびらかしてくる。

「見てよこれ。パリの新作で、限定モデルなの。このバッグもね、世界に五つしかないんだから」

 セリーナは一歩距離を詰めてきた。

「ねえ、知ってる? 昔の私って本当に馬鹿だったわ。マーカスにすがっていればいい暮らしができると思ってた。でも結果はどう? 毎日...

ログインして続きを読む