第8章

 ドアが開いた瞬間、私は息を呑んだ。

 玄関に立っていたのは母だった。満面の笑みを浮かべ、目を三日月のように細めている。

「やっと帰ってくる気になったの?」

 母は手を伸ばし、私を家の中へと引っ張り込んだ。後ろに続くマーカスの戸惑いが、背中越しにも伝わってくる。

 母さんは怒っていない? 姉妹で結婚相手を交換するなんて、どう考えても簡単に許されることじゃないのに。

「道中、疲れたでしょう? スープを煮込んであるから、まずはそれを飲んで温まってちょうだい」

 母は振り返り、マーカスにそう声をかけた。

「お母さん……」

 私は恐る恐る口を開いた。

「怒ってないの?」

「どうし...

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