第6章

崩れかけた国境の礼拝堂を、夕日が血のように赤く染めていた。

バイパーがあの女と姿を消してから一週間。私はあらゆるコネと情報屋を使い、猟犬のように二人の足取りを追っていた。

そしてついに、傍受した暗号メッセージが彼らの目的地――聖マリア礼拝堂を暴き出した。

墓地に立ち、解読したメッセージを指でなぞる。今夜八時。本気で逃げ切れるとでも思っているのだろうか。

いや、これは逃走劇じゃない。バイパーはそんな馬鹿じゃない。いずれ私に見つかることは分かっていたはずだ――獲物のように考えろと、いつも教えてくれたのは彼なのだから。

これは奴の罠であり、同時に私の罠でもある。すべてが始まっ...

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