第3章
嵐は予想以上に激しかった。
午後九時を回る頃には、骨董店の真上にある私の小さなアパートの外で、風がけたたましく唸り声を上げていた。窓ガラスがガタガタと震え、まるで何かが叩きつけるような音が響く。
県の緊急放送は、耳慣れた警告を執拗に繰り返している。【屋内に留まること。不要不急の外出は避けること。そして、必需品を備蓄しておくこと】
私はソファに深く身を沈め、温かい紅茶を両手で包み込みながら、古い白黒映画を半分上の空で眺めていた。その時、天井の電球がチカチカと不吉に点滅した。心臓が跳ね上がる。
最悪だ。もし停電にでもなったら、朝までにはダイナーの冷凍庫の中身は、すべて台無しになってしまうだろう。
少なくとも蓮は家にいて安全なはずだ。彼の継母に何があったかは知らないが、まさかこんな天気の中、子供を外に出したりはしないだろう。
ノックの音がしたのは十一時十五分だった。
最初は、邪魔をしていいものかためらっているような、小さな音だった。それから、もっと切迫した音になった。私はテレビの音を消して耳を澄ませた。さらに三回、間違いなく本物のノック音。
一体誰がこんな天気の中を?
私はスリッパのまま、足音を立てないようそっとドアへと近づいた。ドアスコープを覗き込むと、ポーチの明かりが、風に身をかがめる小さな人影をぼんやりと照らし出していた。その周りでは、雪がまるで生き物のように激しく渦を巻き、視界を遮る。来訪者の顔は、雪と闇に隠されて判別できない。
心臓が止まるかと思った。
私はドアを勢いよく開けると、蓮が玄関に倒れ込んできた。
彼はびしょ濡れだった。何時間もこの嵐の中を歩いてきたかのように、全身ずぶ濡れだ。唇は青ざめ、全身ががたがたと震え、歯の根が合わない音まで聞こえるほどだった。小さなバックパックを命綱のように胸に抱きしめている。
「莉奈……」彼の声はほとんど囁きのようだった。「今夜……ここに泊めてもらえませんか?」
「なんてこと、坊や、中に入って。今すぐ」
私は彼を中に引き入れ、風を遮るようにドアを叩きつけた。間近で見ると、彼はさらにひどい状態だった。髪は頭に張りつき、そこら中に水滴がしたたっている。コートはずぶ濡れで、何の役にも立っていなかった。
「どのくらい歩いてたの?」
「わから……ない。たぶん、二時間くらい? 道に迷って」
二時間。この嵐の中を……
「わかったわ。とにかく体を温めないと。二階まで上がれる?」
彼は頷いたが、足が震えているのが見えた。私は彼に半ば肩を貸すようにしてアパートの二階へ上がり、まっすぐ浴室へ連れて行った。
「熱いシャワーを浴びて。今すぐ。問答無用よ」私は物入れからタオルを掴み出した。「乾いた服を探してくるから」
私は引き出しを漁って、自分が持っている中で一番小さいものを探した。大学時代からとっておいた古い瑞原のスウェットシャツと、引き紐付きのパジャマのズボン。彼には大きすぎるだろうが、少なくとも暖かい。
二十分後、彼が浴室から出てきたとき、その姿はまるで大人の服を着て遊んでいる子供のようだった。スウェットシャツは膝まで届き、ズボンは足首のあたりでくしゃくしゃになっている。でも、唇はもう青くはなかった。
「少しは良くなった?」
「う、うん……」
彼がまだ少し震えながら私のキッチンテーブルに座っている間に、私はホットチョコレートを作った。インスタントの粉末じゃない、本物のホットチョコレート。マシュマロと、ほんの少しのバニラを入れて。祖母がよく作ってくれたやり方だ。
「何があったか、話してくれる?」私は彼の前にマグカップを置きながら尋ねた。
彼はまるで世界で一番大切なものであるかのように、そのカップを両手で包み込んだ。
「喧嘩してた。パパと、美咲さんが。お金のこと、赤ちゃんのこと、それから……」彼はごくりと唾を飲み込んだ。「僕のこと」
私は彼の向かいに腰を下ろし、待った。
「彼女は、もう一人余分に食べさせる余裕はないって言った。僕が食べすぎる、お金がかかりすぎるって。浜原市の親戚のところに住むべきだって」
胃が締め付けられるようだった。浜原市はここから四時間もかかる。
「パパも、彼女が正しいかもしれないって言った。その方がみんなのためだって」蓮の声が小さくなる。「だから僕は、わかった、って言ったんだ。出て行くよって。お荷物にはなりたくないから」
「あなたはお荷物なんかじゃないわ、蓮」
「僕もそう思ってた。でも、そしたら美咲さんが怒鳴り始めたんだ。ものすごい剣幕で。パパに選べって言った」彼は私を見上げた。その目には涙が浮かんでいた。「彼女と赤ちゃんか、僕か、どっちかを選べって」
胸が張り裂けそうだった。本当に、張り裂けそうに。
「お父さんは、なんて?」
「パパは……」蓮の声がひび割れた。「ごめん、って。でも、自分の家族が第一なんだって。本当の家族が」
車を飛ばしてあいつらの家に行って、この美咲という女に私がどう思っているか一言一句叩きつけてやりたかった。それに蓮の父親も。自分の子供たちを見比べて一人を選ぶなんて、どんな父親だっていうの?
「彼女は僕の荷物をドアから外に放り投げた。雪の中に。今すぐ、今夜中に出て行かないと、警察を呼んで僕が彼女を脅したって言うって」
「それで、ここまで歩いてきたのね」
「他に行くところがわからなかったんだ。ごめん、莉奈。迷惑かけちゃいけないってわかってるんだけど……」
「やめて」私はテーブル越しに手を伸ばし、彼の手を取った。ようやく温かくなってきていた。「迷惑じゃないわ。あなたが迷惑なことなんて、絶対にない」
その時、彼は泣き出した。癇癪を起した子供の怒りの涙ではない。すべてを失った人間の、静かで、胸の張り裂けるような嗚咽だった。
私は椅子を彼の隣に移動させ、彼を抱きしめた。彼はとても小さく、とても痩せていた。どうして今まで、彼がこんなに痩せていることに気づかなかったんだろう?
「大丈夫よ」私は彼の湿った髪に囁きかけた。「きっと大丈夫だから」
私たちは長い間そうしていた。彼が泣き、私が彼を抱きしめ、外では嵐が荒れ狂っていた。彼の嗚咽がようやく収まった頃、私は一番暖かい毛布でソファに寝床を作った。
「おやすみ」私は言った。「何もかも、朝になったら考えましょう」
彼は数分もしないうちに眠りに落ちていた。もうすぐ十三歳になるというのに、小さな子供のように丸まって。私は彼の胸が上下するのを見守り、ようやくその顔から緊張が解けていくのを見つめた。
何年も前に失った赤ちゃんのことを思った。私が守ってあげられなかった、こんな嵐から無事に守ってあげられなかった、あの子のことを。もしかしたら、これは私にとって二度目のチャンスなのかもしれない。
それから私は携帯電話を手に取り、連絡先をスクロールして、探していた番号を見つけた。
悟神父は、私がこの町に引っ越してきたとき、書類の手続きを手伝ってくれた。地元の役所仕事をどう乗り切るか助けてくれた人だ。吹雪の中に追い出された子供について何をすべきか知っている人がいるとすれば、それは彼だろう。
しかし、もうすぐ真夜中だ。朝まで待つべきかもしれない。
次の瞬間、誰かが私のドアを叩いていた。胃がずしりと重くなるような、大きくて、公的な響きのあるノックだった。
時計に目をやる。午前七時。蓮はまだソファで眠っている。
さらにノックの音が、今度はもっと執拗に響いた。
「瑞城莉奈さん? 青葉青少年保護局の村上と申します。少しお話よろしいでしょうか。」
