第4章

私はソファで丸まったままの蓮に目をやり、それからドアへと視線を戻した。

「少々お待ちください」と私は声を張った。内心の動揺に反して、声は思いのほか落ち着いていた。

私は、蓮の肩にそっと手を置き、優しく揺り起こした。彼はゆっくりと瞼を開け、焦点の定まらない瞳で私を見つめた。

一瞬、自分がどこにいるのか、何が起こっているのか理解できないといった困惑が顔に浮かんだが、次の瞬間、まるで堰を切ったかのように記憶が奔流となって押し寄せたらしい。彼の表情に、瞬時に状況を把握した焦燥と、かすかな不安が混じり合った。

「児童保護局の人が来てる」と私は囁いた。「心配しないで、いい? ただ本当のこと...

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