第6章

休み時間、先輩の教室のドアまでこっそり行った。昨日のことを説明したくて、彼の姿をひと目見ようと思ったのだ。でも、窓から中を覗いても、見慣れたその姿はどこにもなかった。

彼の隣の席のクラスメイトが誰かと話している。「田中先輩、今日来てないよ。家で何かあったらしい……」

心臓が止まりそうになった。

放課後、私は美術室へ走った。私たちがいつも一緒に絵を描いていた場所だ。がらんとした教室には夕日の影が落ちているだけで、もう「絵は楽しく描くものだよ」というあの温かい声は響いていなかった。

そこで一時間待ったけれど、彼は来なかった。

三日目、私はようやく彼に会えた――でもそれは、校...

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