第10話

少し考えた末、やはり自分から動くことにした。

署名済みの離婚届を彼の会社へ速達で送った。

誠吾は確かにすぐに返事をくれた。

誰かが、私が売りに出した家の価格を底値まで叩き下げてきたのだ。

彼が指示してわざとそうさせたのだろう。彼はこの方法で、私を自分の元へ戻そうとしているのだ。

彼が私に同情してくれるなどとは、思い上がってはいられない。

彼が必要としているのは、公の場に連れ出してもグループのイメージを損なわない「深津奥様」に過ぎないのだと分かっている。

私以外には、今のところ他に適任者はいない。彼の恩人でさえも例外ではない。

我が家は没落したとはいえ、それでもそれなりの価値がある。

しかし、母...

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