第7章

12月31日、午後10時。霧崎(きりさき)港湾地区の夜空を、花火が鮮やかに彩っていた。闇の中で咲いては散る、極彩色の光。私は港湾倉庫を改造した地下格闘技場の外に立ち、車から降りてくる剛臣(たけおみ)を見つめていた。その顔には、長い間見ることのなかった、驚くほど穏やかな表情が浮かんでいる。

「真琴(まこと)、来てくれてありがとう」

彼は私に歩み寄り、手を伸ばしたが、その手は宙でためらうように止まった。

「わかってる……お前を傷つけたことはわかってるんだ。でも、もう一度やり直すチャンスが欲しい」

私は彼に手を握らせた。掌から伝わる温もり。表面上、私は柔らかく微笑んでみせる。

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