第1章
「彼女が本当にどうやってこの表紙を勝ち取ったのか、気になるよな」
社内掲示板に、誰かが私の写真を投稿した。
先週の新星賞授賞式のときのものだ――社内講堂の演台に立つ私。背後のスクリーンには、社内誌の表紙が大きく投影されている。会社の公式アカウントが短い文言を添えて共有していた。「本年度の新星賞、イーヴィ・ルッソさんおめでとうございます。特集記事における卓越した成果が正当に評価されました。」
投稿は数分で、すでに何十件ものコメントがついていた。
「入社二年でいきなり表紙? すごすぎ」
「イーヴィは本物だよ。グリーンフィールドの合併の記事、今年出した中で一番良かった」
「彼女って彼氏いる? 友だちが知りたいって。いや、俺が知りたい」
私は無表情のままスクロールしていたが、JM_IT部門というアカウントの長文が目に留まった。
「お前ら何なんだよ。イーヴィ・ルッソに群がりやがって。あいつがどうやって表紙を飾ったか、本当のところ知らねえのか? 入社初日からマーカス・ヘイルの『お気に入り』だぞ。しかもその『お気に入り』の意味、わかるよな? 十四階で残業したことあるやつなら、みんな知ってる。何が起きてるか」
すぐに誰かが返信した。「誰だよこいつ。会社の投稿の下で彼女を貶すとか、何考えてんだ」
だがJM_IT部門は止まる気配がない。その返信が癇に障ったのか、さらに長いコメントを叩きつけてきた。
「貶してる? 冗談じゃねえよ。俺はこの目で見たんだ。あいつとマーカスが屋上でベタベタしてるところをな。真っ昼間だぞ、隠す気もなし。あの『頑張り屋さん』ぶって新入社員を騙してるだけだ。編集部じゃみんな知ってる。新星賞も昇進も、全部体で稼いだってな」
前の人生なら、この瞬間に手が震えていた。コーヒーをキーボードにこぼし、呼吸もできないまま固まって、セリーナが駆け寄って腕を回してくれるまで動けなかった。
でも今回は、手は震えなかった。私はコーヒーカップを、ゆっくり、意図的に机へ置き、読み続けた。
「イーヴィ、大丈夫? お葬式みたいな顔してるよ」隣のデスクから、ダナ・パークが身を乗り出してきた。視線が私の画面に落ちる。三秒読んだだけで、好奇心は驚愕に変わった。
「待って、JM_IT部門? それ、ジェイク・モローのアカウント名だよ。開発チャンネルで見たことある」ダナの声は低くなったが、十分に小さくはなかった。「セリーナ、ジェイクってあなたの彼氏だよね? なんで社内掲示板でイーヴィにこんなこと――」
通路を挟んだ向かいの席で、セリーナ・コールが顔を上げた。困惑が一瞬よぎり、彼女は立ち上がってこちらへ歩いてくる。床に響くヒールの音。ダナの肩越しに身をかがめてコメントを読み、その顔が濃く、まだらな赤に染まった。
いつの間にかフロアの半分がスレッドを開いていた。あちこちの画面に同じ投稿、同じコメントが映り、鏡の回廊みたいにモニターからモニターへ反射している。何人かが私を見て、すぐ視線をそらした。
「ありえないだろ」若手の編集者の一人が、私に聞こえる程度の声で吐き捨てた。「名誉毀損だ。イーヴィ、すぐ人事に行ったほうがいい」
「だめ! 人事には――行かないで」セリーナの声は速すぎて、鋭すぎた。はっとして言い方を和らげ、胸に手を当てる。「イーヴィ、本当にごめん。何かの誤解よ。今すぐジェイクに話してくる。全部消させて、謝らせる。約束する」
その表情は真剣で、ほとんど懇願するようだった。彼女の手が私の腕に触れる。温かくて安心させる手つき――いつも、相手に自分を信じさせたいときにする仕草。
もし一度目の人生でこれを経験していなければ、彼女を信じて任せていたかもしれない。
けれど前の人生で、ジェイクはあのコメントを消さなかった。謝りもしなかった。その代わり、ある動画が拡散したあと、椅子にもたれ、あの薄ら笑いを浮かべてこう言ったのだ。「ほらな? 言っただろ。イーヴィ・ルッソは体を売って表紙を取ったんだよ」
私は何も言わずに立ち上がった。スマホを手に取り、ジャケットを羽織り、IT部門へ向かって歩き出す。
背後でセリーナの声がした。「イーヴィ、待って――先に私が話すから――」だが私はもうガラス扉の向こうへ抜けていた。
ジェイク・モローは自席で椅子を倒し気味に座り、足を投げ出し、自分のコメント欄を眺めていた。自分の仕事ぶりを鑑賞している男みたいに。私が目の前に立つのに気づくと、三秒ほど固まった。次の瞬間、正義ぶった顔を作ろうとして表情を取り繕った。
「あなたが書いたこと、真実なの?」私は訊いた。
彼は瞬いた。「は?」
私はスマホを突き出した。画面のコメントが彼を睨み返す。「私が体を売って新星賞を取ったって言った。皆知ってるって。屋上でマーカスにベタベタしてたって。――それは本当? いつ、どこで? 誰が何人見たの? 私はそんなこと一つも覚えてない。だから教えて、ジェイク。真実なの? それとも違うの?」
彼の表情は一瞬で崩れた。顔色が青ざめ、次いでまだらな赤に変わり、数秒間、まともな言葉が出てこない。
セリーナがようやく追いつき、少し息を切らしながら割って入ったのはそのときだった。彼女はジェイクの腕をつかみ、強く握りしめ、歯の間から囁いた。「謝って。今すぐ」
呪縛が解けたみたいに、ジェイクはしどろもどろに言った。「す、すまない、イーヴィ。そんなつもりじゃ――いや、あの、口が滑っただけなんだ。あんなの投稿するべきじゃなかった」
