第4章

夜は更け、病室には私と、寝息を立てる母だけが残されていた。

窓から差し込む月光が、見慣れた母の横顔の輪郭をなぞる。

「一体どうしろっていうの! いつまで私を苦しめるつもり!」

私は虚空に向かって声にならない叫びを上げ、涙が堰を切ったように流れ落ちた。

【吉原さん、重要事項の通達があります】

システムの音声は相変わらず冷淡で、まるで先程の私の感情の爆発などなかったかのようだ。

「あんたの言う通りにしてやるから、さっさと私の頭から出ていって!」

私は歯を食いしばり、母を起こしてしまわぬよう、声を極限まで押し殺した。

【あなたの夫である高橋賢治と、息子の高橋文太も、時空ト...

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