第140章 いつか母は彼女を許すだろう

今のところ何の異変も起きていない。北条涼子の胸にこびりついていた不安も、少しずつ薄れていった。だからこそ、彼をひとりで買い物に行かせても大丈夫だと判断したのだ。

北条克己はうなずく。

「分かった」

ドアを閉める手が、かすかに震えていた。エレベーターに乗り込むと、彼は長く息を吐き出し、慌ててスマホを取り出す。さっきの通話履歴から、短いメッセージを送った。

北条千雪のスマホが、ぶるりと震える。取り出して画面を見ると、そこにはたった一言。

「待って!」

それだけなのに、胸の奥がじんわり温かくなった。

――やっぱり。

お父さんは、私を置いていかない。きっと、会いに来てくれる。

そし...

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