第145章 彼女の様子は、まるで正気の沙汰とは思えなかった

篠原茉優には、どうしても腑に落ちないことがあった。

鷹司京介は、二人が「そういう関係」になったと思い込んでいるくせに、なぜか距離だけはきっちり保ったままなのだ。

一度でも体を重ねたら、あとは流れで自然に――男なんて皆そうだと、茉優は信じていた。彼女が欲しかったのは、その「当然の結果」だった。

ところが鷹司京介は違った。

二度目はない。触れもしない。むしろ以前より慎重で、この二か月、イベントでも会食でも、決して酔いつぶれない。無意識に理性を保ち続けている。

――隙が、ひとつもない。

なのに北条千雪には、あんなふうに獣みたいに……。

いったい何が違うのか。

車内。

鷹司京介は窓...

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