第32章 本当に役立たずだ

翌日、鷹司恭一の指示で、彼女たちは鷹司グループへ向かい、先方の責任者と今後の引き継ぎ事項を詰めることになった。北条千雪はその二人の後ろをついて歩くだけで、そこにいないも同然だった。

本来なら、その後の引き継ぎは案件責任者だけが顔を出せば足りる。だが、北条千雪も来ていると聞いた鷹司京介は、手元の数億規模の案件を放り出し、自ら応接室の扉を押し開けた。

和やかだった空気が、彼の登場ひとつで一気に凍りつく。

北条千雪は彼を見た瞬間、目の奥にかすかな驚きを走らせた。その揺れもまた、鷹司京介には見逃されなかった。

その場の全員が慌てて立ち上がる。責任者が不安げに声をかけた。

「鷹司社長、何かご...

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