第41章 彼女はお父さんとお母さんに会いたい

北条千雪の手が、ぴたりと止まった。――そうか。私に会いに来たわけじゃない。

当然だ。母は今、私を憎んでいる。一秒だって顔を見たくないはず。

それでも、会いたかった。父と母に。

どこにいようと、会えるなら行きたかった。

千雪は手の甲の点滴針を抜いた。身体の奥がぞわりと不快に波立つのを、歯を食いしばって押し殺す。そっと病室のドアを開け、さっき両親が歩いて行った方向へ向かった。

廊下の先で、父と母がひとつの病室の扉を押し開けるのが見えた。

千雪は足音を殺し、つま先立ちで近づく。扉の小窓に額を寄せ、ガラス越しに中を覗いた。

「お父さん、お母さん、どうして来たの?」

篠原茉優の声。

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