第53章 彼女の正体を見抜いた

北条千雪は、さっき彼女から濃密な殺気を感じ取った。――あれは、千雪の知っている篠原茉優じゃない。

篠原茉優はお姉ちゃんに顔立ちが似ているだけじゃない。しとやかな雰囲気まで重なっていた。普段は少しわがままなところがあるとはいえ、ずっと皆の中では「いい子」だったはずだ。

そんな淑女が、さっきみたいな言葉を吐けるはずがない。

……つまり、これまでの優しさは全部、演技。

「聞いちゃったの?」

篠原茉優は笑いながら千雪のそばへ寄り、気遣うふりで車椅子の取っ手に手を添える。身をかがめ、耳元で囁いた。

「ねえ、教えて。どこまで聞いたの?」

北条千雪は顔を上げ、まっすぐ見返す。

「今までの『...

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