第60章 彼女のそばにいる全ての人を追い払う

鷹司恭一は胸の奥が締めつけられるのを堪えながら言い含めた。

「頼む。……できるだけ、優しくしてやってくれ。絶対に痛がらせるな」

さっきまでスタッフは、きれいで気品のあるこの女がこの街の富豪に嫁いで「奥さま」になったのだと、羨ましがっていた。

だが今、北条千雪の顔色は死人みたいに青く、骨ばって皮だけが張りついたような身体に、無数の傷が走っている。

――羨ましいなんて、もう思えない。

やっぱり健康がいちばんだ。

着替えを終えた鷹司恭一は中へ入った。床に残る血を見た瞬間、もう待てないと悟る。

北条千雪を抱き上げ、出口へ向かった――その扉口で、鷹司京介に塞がれた。

「恭一。線を越えた...

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