第61章 彼女に明日はない

北条千雪には、真実を打ち明ける術が見つからなかった。言葉にする勇気も、ない。

両親のそばに、あんな危険な人間がいると思うだけで、ぞっとする。

いつか篠原茉優が、突然ふたりに手をかけるんじゃないか――そんな恐怖が、頭から離れなかった。

北条克己は彼女を宥めるように言った。

「千雪が茉優を好きじゃないのは分かってる。でも、あの子は本当にいい子なんだ。姉妹なんだから、仲良くしなさい。もう揉め事はやめよう」

父ですら騙されている。北条千雪に、どうやって彼女の化けの皮が剥がせるというのか。

「お父さん……私がそばにいない間、ちゃんと自分のこと守って。お母さんのことも、守って」

「大丈夫だ...

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