第67章 最初に鷹司京介を殴った人

鷹司京介の声は、まるで地獄の底から這い上がってきたみたいに冷たく、背筋が粟立つほどだった。

さっきまで光を宿していた北条千雪の瞳が、すっと陰る。

木下香織は、千雪の肩がわずかに震えたのを見て、彼女が怯えているのだと悟った。

「千雪、緊張しないで」

ドア口に立っていた鷹司恭一が振り返った、その瞬間だった。真正面から、鷹司京介の氷みたいな視線を受け止めてしまう。

鷹司京介は口元だけを歪め、つかつかと近づいた。恭一の横を通り過ぎる際、わざわざ目を上げて視線をぶつける。刃物みたいな目――そのまま肩で押しのけるようにして、病室へ入っていった。

病室に飾られた花束と果物。ベッドサイドの棚に置...

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