第73章 彼女は本当に犬にも劣る

太陽が昇り、容赦ない日差しが真上から叩きつける。北条千雪は丸一日何も口にしていない。炎天下に晒され続け、唇はぱっくり割れ、唾を飲み込むことさえままならなかった。

午後になるころには、意識が遠のきかけていた。

野原忍が顎で指図する。

「水、飲ませろ」

器が唇に触れた瞬間、千雪は反射で首を伸ばした。だが、ほんの一瞬で引き上げられる。

目を開けると、目の前の男が器を床に叩きつけた。ガシャン、と乾いた音。砕けた破片の間に、ほんの少しだけ水が残っている。

北条千雪はゆっくりしゃがみ込み、床に腹ばいになって、その水を舐め取った。舌に触れたのは、泥と埃と、わずかな湿り気だけ。

野原忍は、日に...

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