第83章 どうして犯人に謝るのか

鷹司京介の指先が、包帯の巻かれた彼女の腕を無造作になぞった。力は強くない。なのに、氷の刃で撫でられたみたいに冷たくて、北条千雪の全身がびくりと跳ねる。

「お利口になったなら、それでいい」

薄い唇がわずかに動く。声には、熱が一滴も混じっていなかった。

「茉優がこの数日、お前の様子を泣きながら聞いてきた。あいつが来たら、ちゃんと謝れ」

――謝れ?

北条千雪は腕をだらりと下げたまま、指を強く握り込んだ。爪が掌に食い込み、血が滲んでも痛みは感じない。

篠原茉優は、彼女の姉を残酷に焼き殺した。

千雪はあの女を、粉々にしてやりたいほど憎んでいる。それなのに、こいつは自分に謝れと言う。

ど...

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