第88章 鷹司京介が彼女の翼を折る

高坂隼人の張りのある声が、倉庫の中で反響した。

「いち、に……」

「北条千雪!」鷹司京介が名を叫ぶ。

篠原茉優は目を見開いた。まさか――本当に千雪を選ぶなんて。

自分は、あの女に負けるのか。

だが次の瞬間、鷹司京介は歯を食いしばり、吐き捨てるように言った。

「北条千雪の指を切れ」

宙ぶらりんだった篠原茉優の心が、ようやくすとんと落ちた。――やっぱり。自分が負けるはずがない。

彼女は勝ち誇った目で北条千雪を見やる。恐怖や怯えが、その顔に浮かぶはずだと信じて。

けれど、何もない。

北条千雪はその言葉を聞いても、瞬きひとつしなかった。まるで鷹司京介が何を選ぼうと、自分には関係な...

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