第89章 人に薬を盛られた

鷹司恭一は拳をきつく握りしめた。北条千雪をこれ以上そばに置いておけば、いずれ必ず――取り返しのつかないことになる。

「俺が調べさせてた件、どうなった」

秘書が資料の束を差し出す。

「北条さんは四年前から、夏目凛という名義で鷹司京介に献血をしていました。直近は一か月前です。ただし鷹司家は、この事実を把握していません」

鷹司恭一は即座に資料を奪い取った。そこに並ぶ献血回数、そして毎回の『規定の量を超えている』――その文字が、針のように目に突き刺さる。

……あいつのために、ここまで。

なのに、なぜ京介に知らせなかった。

「鷹司家もずっと調べていたようですが、北条さんの隠し方が巧妙です...

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