第95章 また一歩遅れる

篠原茉優は込み上げる吐き気を必死に押し殺し、体内で好き勝手に暴れ回る男を受け入れていた。

――こんな理不尽な要求に応じたのは、彼の腕が悪くなく、なおかつ口が堅いからだ。

そうでなければ、最初から相手にしていない。

今だけ好きにさせておけばいい。

北条千雪が死んだら、次はこいつの番。

高坂隼人は満足したのか、ようやく身を引くとベッドヘッドにもたれ、煙草に火をつけた。

ふう、と輪を吐き出し、口元をいやらしく歪める。

「茉優、お前の身体……ほんと、たまんねえな。鷹司京介ってやつ、どんだけバカなんだよ。お前を拒むとか」

篠原茉優は奥歯を噛みしめたまま、冷たく言う。

「……そろそろ動...

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