第97章 鷹司京介の心も震える

高坂隼人は篠原茉優の腕を掴むと、乱暴に前へ突き出した。

「おめでとう。お前の男はまたお前を選んだ。自由の身だ」

篠原茉優は涙をこぼしながら歩き出したが、二歩進んでは振り返り、北条千雪を不安げに見やる。

見たかったのだ。北条千雪が落ち込むところを。怯えて、震えるところを。

――なのに、ない。

前回よりも、さらに淡白だ。

まさか本当に、鷹司京介が誰を選ぼうが気にしないのか。

本当に、死ぬのが怖くないのか。

だったら、こんな回りくどい真似をする意味はない。いっそ、さっさと殺してしまえばいい。

苦しんで死んでいく姿を見たかったのに、この反応では――篠原茉優は失望を隠せなかった。

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