第99章 魚が食いついた

篠原茉優は酔い潰れた鷹司京介を見つめた。――こんな好機、二度と来ないかもしれない。

彼女は柔らかくうなずき、優しい声で言う。

「分かった。帰ってちゃんと休んで。何かあったら連絡するね」

吉村毅はうなずきながらも、まだ不安そうに鷹司京介へ視線をやった。

茉優が来る前、京介は何度も荒れていた。怒鳴り、物に当たり、手がつけられなかった。

けれど彼女が現れてからは、嘘みたいに静かになった。

――結局、鷹司京介を宥められるのは篠原茉優だけ、ということか。

「……分かった。じゃあ、俺は先に失礼する」

吉村毅はドアを閉めて出ていくと、警備員にも「社内の様子を気にしておいてくれ」と念を押した...

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