第四十四章

深く潜るにつれて水は重みを増し、まるで生き物のように脈打つ幽玄な輝きがきらめいている。

私のセイレーンの体はかつてないほど力がみなぎり、尾びれはたやすく濃密な水流を切り裂いていく。だが、行く手に待ち受けるものの重圧が、重い潮の流れのように私にのしかかる。エレクトラの声が聞こえる。柔らかく、それでいて威厳に満ちたその声が、私の頭の中に響き渡る。

『完全なるものとなるには、まず壊れなければならない。一歩進むごとに、かつての自分を縛り付けていた鎖は砕け散り、あるべき姿が鍛え上げられるだろう』

周囲の水が波打ち、前方に巨大な珊瑚の壁が実体化する。それは上方へ、そして外側へと広がり、果てしない青の...

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