チャプター 211

海を去る時が訪れ、私は感情の奔流に圧倒されていた。憧れと安堵、興奮と恐怖――それらすべてが一度に押し寄せてくる。

海は私の故郷となった。だが、再び新鮮な空気を吸い、水のフィルターを通さずに太陽の光を肌で感じることを思うと、期待で胸が震える。それでも、興奮の底には痛みがあった。ここを去れば、もう二度と同じではいられないことを、私の一部が悟っているのだ。

ウェイクが宿舎の静寂の中で私を見つけた。その表情は読み取れないが、声は優しい。「時間だ」

私は頷き、こみ上げるものを飲み込んで、彼の後について外へ出た。コーラはすでに宮殿の入り口近くで待っており、その視線は私たちと、背後にそびえ立つアオの尖...

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