チャプター 21

ネレイド号が前方にそびえ立ち、手つかずのまま、近づく私たちに合わせて波に揺られている。外見上は、何もかもが正常に見える。正常すぎるほどに。

嫌な予感に、胃がきりきりと締めつけられる。

ウェイクもそれを感じ取ったのだろう、短剣を握る手に力がこもる。彼は耳元の通信機に二本の指を当てた。「タイ」低い声で警告を発する。「位置を維持しろ。何かがおかしい」

一瞬のノイズの後、タイの声が弾けた。「『おかしい』ってのは、どういう意味だ?」

ウェイクは鋭い視線で船を走査する。「デッキに人の気配がない。静かだ。静かすぎる」

タイが小声で毒づくのが聞こえた。「了解。そっちから『オールクリア』が出るまで待機...

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