チャプター 272

足を踏み入れると、訓練場は熱気と激しい動きに満ちていた。

ウェイクの声が、まるで軍神の号令のごとく空間を切り裂く。

「もう一度だ」

エラノラの姿がブレるほどの速さで前方へ飛び出した。腕からはリボンのように水流がほとばしり、回転しながらミオレへと迫る。ミオレは本能的に反応し、水流を呼び起こして激突させた。エラノラは数フィート押し戻されたものの、クッションの効いた床を防護するエネルギーフィールドに水しぶきが当たり、ジュッという音を立てる中で体勢を立て直した。

ライルはその様子を無表情で見つめているが、拳は冷たい光を帯び、二つの氷の刃が攻撃の機をうかがう武器のように彼の傍らに浮かんでいる。ウェ...

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