チャプター 285

それは一瞬にして起きた――頭が追いつかないほど速く、無視できないほど圧倒的に。

戦いの主導権が、我々の手から滑り落ちていく。

ライルの氷の矛槍(ハルバード)が再び空気を切り裂き、鋭い音を立ててウェイクの顔をかすめる。エラノラが新たな重圧の波をミオレに放つ。ミオレはすでに息が上がり、指先から生まれる氷の形成も遅くなっていた。コラのシールド発生装置が手首で火花を散らし、大きな破裂音とともに沈黙する。彼女は無防備な状態だ。アリスタの双剣が水の波紋と共に打ち合わされ、土壇場で致命的な一撃を逸らす。

負けてはいない。まだ。

だが、じきに負けるだろう。

奴らの方が上手(うわて)だ。賢さや勇気では...

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