第二百九章

最初は、オーブがまた私の気配に反応しているだけなのだと思った。指先が表面を掠めた瞬間、それは命を吹き込まれたように輝き出し、彫像が立ち並ぶ広大な空間を幽玄な光で満たしていく。だが、その光は鋭さを増し、砕け散り、火花を散らした。

壁、天井、そして床に至るまで、無数の小さな光の点が灯り始める。まるで撒き散らされた砂のように。いや……砂ではない。星だ。

何千もの小さな星々が、隠された星座が出番を待っていたかのように、次々と連鎖して輝き出す。

それらはただ輝いているだけではない。動いているのだ。

私はゆっくりと振り返った。掌の中でオーブが温かく脈打っている。光が捉えたその光景を見て、私は何が起...

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