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「また別のセイレーンが見つかったんですか?」

震えを必死に抑えながら、私は尋ねた。その言葉が意味するところを、頭の中で整理しようと努める。

セント・クラウド博士は頷いた。その表情は相変わらず読み取れない。

「アドリア海よ。地中海沿岸から数海里の沖合ね」

向かいに座っていたスタンが、机をバンと叩きつけた。

「なんでもう一匹の人魚(マー)のことは俺に知らされなかったんだ?」

鋭く、非難めいた口調だ。

博士はゆっくりと瞬きをした。彼の剣幕に全く動じていない。

「今、伝えたわ。これが『知らせた』ということよ」

スタンは怒りで顔を紅潮させ、唇を歪めて冷笑を浮かべる。

「野生でうろついている三匹...

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