第100章

「バレエの何が分かる?」

滝川明也の声は鋭く、業界の権威としての揺るぎない圧が滲んでいた。

「栞里のさっきの安定感は、ここにいる現役ダンサーの9割を超えてる。あの子の絶対的な才能はな、お前みたいな人間が何代生まれ変わったって届かねえ。俺のカンパニーに、素人が口出しする余地はない」

数人のダンサーも眉をひそめ、渡辺秋沢を見る目に露骨な蔑みが浮かぶ。

衆目の前で叱責され、渡辺秋沢は顔を真っ赤にした。

奥歯を噛みしめて半歩退く。それでも相葉栞里を睨みつける視線だけは外さない。瞳の底に渦巻くのは、どうしようもない不甘。

相葉栞里は渡辺秋沢を相手にしなかった。滝川明也へ視線を向けると、冷え...

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