第106章

反対側の個室では、氷上辰也がすでに目を覚ましていた。

乾いた病衣に着替え、布団を肩まで引き上げたまま、ぶるぶると震えている。

氷上颯がドアを押し開けて入ってきた。顔は青ざめ、険しい表情を浮かべている。病室の空気が一気に張り詰めた。

「なんで付き添いを撒いた?」

ベッド脇まで歩み寄ると、息子を睨みつけた。

「誰に勝手に走り回れって教わった?」

辰也は怯えて首をすくめ、涙をぽろぽろ落とした。

「ママが見えたんだ……会いに行きたかった……」

氷上颯の動きが、ぴたりと止まる。眉間に深い皺が刻まれた。

――辰也が相葉栞里にどれだけ懐いているか、あの女が知らないはずがない。

今日、わざ...

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