第108章

「お前、どれだけ冷血なんだよ!」氷上颯は怒鳴った。抑えていた感情が一気に噴き出す。

「加奈が死にかけてるんだぞ! さっき医者が、危篤だって……心臓がもう限界で、いつ止まってもおかしくないって!」

相葉栞里は無表情だった。

「じゃあ、早めにお悔やみ申し上げるわ」

通話を切ろうとした、その瞬間。

氷上颯が急に声を落とした。苛立ちに塗れた怒気の奥に、これまでにない焦りと懇願が混じる。

「相葉栞里、待て!」

氷上颯は息を吸い込んだ。

「お前、瀬戸先生と繋がりがあるだろ。昔、お前の母親の手術を執刀したのが瀬戸先生だ。世界でも指折りの心臓外科医で……加奈を助けられるのは、あの人しかいない」...

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