第119章

息子の絶望に満ちた目を、氷上颯は直視できなかった。心の奥底では、この事実だけは認めたくなかったのだ。

「……泣くな」

氷上颯は歩み寄り、床に落ちていたタブレットを屈んで拾い上げる。画面に表示された初日の日時と会場名を見つめるうち、視線がじわりと沈み、意地のような冷たさが滲んだ。

タブレットを机の上へ放り、颯は氷上辰也を振り返る。

「来週、あいつの公演がある」颯の声は掠れていた。区切るように言う。「連れて行く。お前も観ろ」

氷上辰也は掛け布団の端をぎゅっと掴んだ。涙はまだ目の縁に溜まったまま、颯の言葉に反射的に首を横に振る。

「行かない!」叫ぶ声は泣き声と意地が混ざっていた。

「...

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