第123章

氷上颯は病院の廊下に置かれた長椅子に腰を下ろしていた。

相葉栞里が投稿した長文を、無表情でスクロールする。下に連なるコメントは罵倒と嘲笑ばかり。胸の奥がざらつく。

颯はスマホを握り締めた。

もう頭を下げて謝った。なのに、まだ何を望む?

たかが五年分の夫婦のいざこざだ。どこの家にだって摩擦くらいある。なのに彼女は、わざわざ掘り返して、ネットの前へ晒し上げた。世間に裁かせるつもりなのか。

理解不能だ。

氷上家の体面も、俺の尊厳も、何ひとつ考えていない。

颯はスマホを隣の席へ投げ置いた。もう相手にしない。訴えると言うなら、好きにすればいい。

夜はさらに深まっていく。

――氷上辰也...

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