第128章

警備は厳重で、路肩に停まっている車はどれも限定モデルの高級車ばかりだった。

相葉栞里は舞台衣装に着替え、幕の裏に立つ。

布の隙間から客席を覗くと、観客は多くない。二十人、三十人ほどの年配者だけだった。

けれど、その「年配者」は、彼女の想像していた老人像とはまるで違った。

背筋はすっと伸び、目は冴え、座り姿にも一切の隙がない。白髪は混じっていても、身に着けているものは驚くほど上質で、細部まで抜かりがなかった。

何気ない仕草のひとつひとつに、長く上に立ってきた者の余裕と、こちらの息を詰まらせるような圧が滲む。

瀬戸先生が最前列から、彼女に小さく頷いた。

音楽が流れる。チャイコフスキー...

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