第142章

「事が済んだら、船を用意してある。H市からさっさと消えろ。二度と戻ってくるな」

氷上颯は吸い殻を揉み消し、倉庫を背にした。

――栗山加奈には、それがふさわしい末路だ。

夜が落ちる。

栗山加奈は郊外の、人目につかないアパートに身を潜めていた。ここ数日、風当たりがきつい。氷上家へ戻る度胸はない。

そのとき、携帯が鳴った。

「栗山さん」

受話器の向こうから、あのスキンヘッドの声。ねっとりとした悪意が滲む。

「こっちは頼まれた仕事、ちゃんとやった。そろそろ残金、払ってもらおうか」

栗山加奈の胸がひゅっと縮む。

「……失敗したんじゃないの? 相葉栞里、何ともないじゃない!」

「映...

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